電熱コイルにスイッチがはいった感じで、胃の腑と食道に、ぽっと灯が点る。

中島らもの『今夜、すべてのバーで』の中の一節である。僕は酒はそれほど飲まないのだが、この「ぽっと灯が点る」という表現は何となくわかる気がする。アルコールだけではない。灯を点してくれるスイッチは他にもある。それが日々生きる原動力になっていると思うからだ。

今日は日中は暖かだったけど、陽がかげると気温が下がりこの季節らしい肌寒さを感じた。そんな夕刻に久しぶりに会った(いや、久しぶりではないかもしれないが)若い友人と30分ほど他愛も無い話をした。

僕の中の灯が点るのはこんな時である。