涙するもの

学生時代に大学の寮に少しだけいたことがある。伝統のある学生による自治寮だったが、環境になじめず三ヶ月で退寮してしまった。もともと集団行動が苦手で自宅では一人で静かに好きなことをして過ごしたいと思う性質なのだ。しかし、心の一方でそのようなもの、大学の寮や、クラブ活動の一体感や、バンカラ気質と呼ばれるものや、仲間意識や、組織や集団への帰属意識や忠誠心などに強烈な憧れがある。
NHKの短いドキュメンタリで北海道大学の恵迪寮の様子を見た。涙がでてきた。
人間には、自分がなしえないもの、なりえないものに対する憧憬があり、それが他者を愛することのひとつの要因になっていると思う。
一方で、森先生のS&Mシリーズで描かれるクールな大学像も好きだ。その雰囲気は旧制高校学生寮とは対極にある。N大にも伝統的な学生寮はあるのだろうが、それはもちろん描かれない。

タイトルは旧制四高の寮歌(応援歌)。柔道部などが三高や八高への遠征時に歌われたもので、現在も金沢大学で連綿と歌い継がれているという。