庭の砂場に赤い花咲いた

劇評というかあくまでも素人の個人的感想です。いつもは終演後アンケート用紙に感想を書かせていただいているのですが、今日は時間がなかったのでここに転載という感じです。なのでいつものように観ている間、観終わった後に思いついたことを箇条書きにしてみます。

  1. 作品のテーマについて・・・人間は過去や未来を生きることはできない。常に現在(いま)をほんのわずかな記憶を頼りに生きるだけだ・・といったところでしょうか。(“記憶”は実はこの作品の隠れたテーマだと思うのですがどうでしょう?)閉ざされた空間での四人。実はこの四人はスタッフ高橋夏役も含めて皆囚人(プリズナー)なのでしょう。『ホテル・カリフォルニア』の歌詞を思い出すまでもなく古くは『ドグラ・マグラ』、近年では『マトリックス』などで繰り返し使われてきた設定ですね。三上恭子が落花生を食べるとき思わず「土の匂い・・」とつぶやいてしまうところ、外にはもう木などない、といった台詞にヒントが埋め込まれているのでは?
  2. 演技について・・・田口奈緒子役の方のナチュラルな演技に魅了されました。自然で、リアリティの溢れる演技だと思いました。しかし・・・友人O君の演技もとてもナチュラルで素晴らしいのです。ナチュラルな演技というより、彼の演技は(ほぼ)彼の素の表情、口調、言い回しのようでした。十年来の友人ですからその辺はわかります。ということは、奈緒子役の方も素の表情、口調、言い回しなのでは?と思ってしまいました。そして、それは演出家の意図なのでは、と思ったのです。役者たちの素の表情や口調をそのまま役の個性に反映させることによって役の個性を構築していったのでは、と想像しました。そうであればその意図は成功していたと思います。
  3. 演出について・・・やはり80分延々と続く台詞劇にはどこかにユーモアとウイットが欲しいと思ってしまうのは僕だけでしょうか。起承転結というのでしょうか序破急というのでしょうか、ラストの死=“赤い花”に向けて前半にもっと「笑い」が入ってもいいのではないのか、と思いました。
  4. 舞台装置について・・・箱庭は別として、登場人物の衣装やソファーや椅子などのセットをあえて“リアル”なものにしたのですね。普通ならそこはちょっと工夫したくなるところだと思いますが。

と、いつものようにとりとめない感想ですみません。O君どうでしょうか?